Quantcast
Channel: きれいのニュース|beauty news tokyo
Viewing all articles
Browse latest Browse all 39748

豪華絢爛な美の祭典の裏側。カリスマ“アナ・ウィンター”の神仕事と闘いの日々

$
0
0
【うるおい女子の映画鑑賞】 第49回『メットガラ ドレスをまとった美術館』(2016年・米)   「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの。そんな視点から今回はNYのメトロポリタン美術館で年に一度開催される世界最大のファッションイベント、“ファッション界のアカデミー賞”とも呼ばれる「メットガラ」が開催を迎えるまでを追ったドキュメンタリー作品『メットガラ ドレスをまとった美術館』を紹介します。 【『メットガラ ドレスをまとった美術館』 販売:アルバトロス 価格:¥4,000 (c)2016 MB Productions, LLC】   |ファッション界のアカデミー賞「メットガラ」 NYのメトロポリタン美術館(通称:メット)で毎年開催される世界最大のファッションイベント「メットガラ」。映画『プラダを着た悪魔』のモデルとなったと言われるUS版「VOGUE」の編集長アナ・ウィンター主催のイベントで、メット理事でもある彼女が服飾部門の資金調達のために選りすぐりの豪華セレブを招待するイベントです。 【リアーナのドラマチックなドレスはため息ものの美しさ】 レディ・ガガ、アン・ハサウェイ、リアーナなどのセレブが、各ハイブランドのミューズとしてドレスを身にまとい、ジャン=ポール・ゴルチエなどのデザイナーたちとともにレッドカーペット上でスポットライトを浴びる光景は圧巻です。   |アナも一目置く“ファッション愛の塊”の葛藤に共感 企画展「鏡の中の中国」のオープニングイベントとして開催された2015年の「メットガラ」。アナとタッグを組むのはメット服飾部門の主席キュレーターを務めるアンドリュー・ボルトンです。 【アナ(左)とアンドリュー(右)のコンビが、アートと商業の融合イベントを生み出す原動力】 非常に穏やかな性格で少年のように瞳を輝かせてファッションと向き合うアンドリューはアナも一目置く存在。このアンドリューの立場がまさに“ザ・中間管理職”(実際にはもっと核心的な役割だけど)で泣けるのです。 中国の美術品を企画展に持ち込むためにアジア美術部門に交渉するも「ファッションに埋もれて美術品が目立たなくなってしまう」と渋られるのは序の口。もともと美術界では肩身の狭い思いをしている服飾部門において「ファッションはアートである」という信念をもって突き進むも、ジャン=ポール・ゴルチェ、カール・ラガーフェルドといた名だたるデザイナーたちからその信念まで真っ向から否定するものだからその葛藤はひとしお。 とにかくあらゆる方面の人間が、あらゆる異なる意見をアンドリューにぶつけてくるので、本人も「パニック状態」と語るほどのストレス環境で期日までに企画展を完成させなければならないのです(だけど、表面上はものすごく落ち着いた様子)。 【アンドリューの気鋭のセンスが光る企画展「鏡の中の中国」の展示】 計り知れないファッションへの大きくて純粋な愛を抱えたアンドリューは、悩みながら、様々な意見の矢を受けてボロボロになりながらも、結局は自分の信じる道を歯を食いしばって歩みを進める姿には、日本のOL・サラリーマンに通じる美学が感じられ、勝手に感情移入してしまうはずです。   |アナ・ウィンターの“本気”に震える 企画展に展示される、ため息がでるほどに繊細できらびやかな貴重なドレスの数々。そして、唯一無二の存在感でドレスを着こなすセレブたちとフラッシュの閃光。その華やかさはまさに“美の祭典”。 しかし女子的な観点でいえば、本作の醍醐味は、美しい衣装でも、世界指折りのクリエイターたちのセンスと信念の片鱗をつぶさに目撃できることでもなく、アナ・ウィンターの美意識の高さとそれを貫き通す信念、そしてビジネスウーマンとしての手腕を目の当たりにできること。 【アナの判断には迷いがなく、いつもクリア】 リハーサルのために美術館の一角を完全にブロックする必要があると判明したとき、「一般客が展示を見られなくなる」と反対する美術館関係者の意見をはねのけ、「客にはまた来てもらうしかない、以上!」とアナが一蹴するシーンには本当に痺れます。 目的のためなら批判も覚悟で自分の意見を通す神仕事っぷり。彼女をここまでの地位に導いた覚悟や、腹の据わり方にただただ感服。実際、アナが理事に就任してから集めた資金総額は1億2千万ドル超と言われていて、この数字は彼女のビジネスパーソンとしての才覚を証明するものとも言えます。   美しい衣装の数々を目で楽しむだけでも十分満たされますが、アナとアンドリューの闘いの日々を共に歩むことで、仕事や信念についても考えさせられる興味深い1本。とにかく痺れます。   text:kanacasper(カナキャスパ) 映画・カルチャー・美容ライター/編集者

Viewing all articles
Browse latest Browse all 39748

Trending Articles