身体と同様に、こころもエクササイズが必要。週に1本映画を観ることで、こころの筋肉をしっかりと動かし、“きれい”を活性化しませんか? そんな“きれいになれる”映画を毎週紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。
第17回のテーマ「孤独の原点」でご紹介したいのが『共犯』(台・2014年)です。青春映画×ミステリーという新感覚な展開で、瑞々しい映像美とセンスの良さ秀逸で、ミステリーとしての後半の畳み掛けるような展開にはとてもハラハラさせられます。
『共犯』 ¥4,104(税込) 販売元:マクザム Double Edge Entertainment © 2014 All rights reserved. ※2016年2月6日現在
|美少女の謎の死、そして死体を発見した3人の少年たち・・・
いじめられっ子でいつもひとりのホアン・リーファイ。ある日彼は、通学途中の路地裏で血まみれで倒れている女子生徒を発見します。そこへ偶然通りかかったのは同じ学校のイエ・イーカイとリン・ヨンチュン。構内では交わることのなかった3人の少年たちでしたが、警察での事情聴取、学校でのカウンセリングを通して顔を合わせるようになります。
【三人は好奇心から美少女のお葬式へ行く】
|少女は自殺? ”秘密”を共有した3人
死んだ少女が実は同じ学校の生徒だということを知った3人。ホアンは彼女のクラスメイトへの聞き込み、卒業アルバム、SNSを駆使して、この少女がシャー・ウェイチャオという美少女であったことをつきとめます。さらにホアンは、彼女はいつもひとりで、学校ではいじめられていたという証拠をふたりに見せます。
「シャーを死に追いやったいじめっ子を懲らしめよう!」という計画を立てた3人は、それから毎日のように顔を合わせ、ひとりの少女の死という現実とは裏腹に、”青春”そのもののようなハツラツとした光のなかにいます。
ひとりぼっちだったホアン、教師にも煙たがれる一匹狼の不良イエ、優等生でいつも友達に囲まれているリン。シャーの死によって偶然に出会ったバラバラの3人の少年たちの好奇心からの復讐劇はやがて、予想外の展開へと転がり、誰もが宿命のようにもっている孤独をヒリヒリと露呈していくことになるのですーー。
【「いじめられていた可哀想なシャー」にどんどん感情移入していく3人。復讐は加速していく】
|青春は孤独の始まり
「青春」と聞くと、まぶしくキラキラした光のなかにいて、勉強もせずに遊んだり、恋をしたりーーそんなステレオタイプなイメージが浮かびますか? だけど、よくよく思い返してみると、コンプレックス、未熟さ、規則との悶々とした闘い、皆と同じ服を着て、同じ笑顔で笑い、同じ悩みを語り合う日々ーー実はそんな窮屈さに苦しんでいたこともあったのではないでしょうか。
【フレッシュな才能で溢れた新人キャストたちの瑞々しい演技が光る。シャー(中央上)を演じるのは川島小鳥さんの写真集『明星』のあの美少女!】
『共犯』では、いじめられていた孤独な美少女、いじめていたのにシラをきる運動部の部長、いつもトラブルを起こす甲斐性のない不良、優等生で誰からも好かれる好青年、少女の死に胸を痛め真相解明しようとするもの静かな少年、そのすべてが表面的で、実情はまったく関係ないということがわかります。そして現代の若者を取り巻くSNSは、その表面をすくい上げて拡張していき、それを”本当”にしてしまう影響力があります。そして実は、誰も真実には興味がなかったりするが恐ろしいところ・・・・・・。
|あれ、でもこれって今のわたし?
みんなが信じればそれが”本当”になる。だから孤独を埋める為に嘘をついたり、虚像をつくり上げて心を満たそうとする。だけど、世界中が信じたとしても、自分だけはそれが嘘だとわかっていますよね。この映画に登場する高校生たちは、他人からどうみえようと、皆一様に孤独です。孤独と聞くとネガティブに捉えられがちだけれども、本来人間はひとり。多くの人が、その原体験を青春と呼ばれる時期にするのではないでしょうか。
おとなになったわたしたちは、きちんとこの”孤独”と向き合えているのでしょうか? そんな真面目に観ても観なくても、観始めると一気に引き込まれるテンポのいい一作、今週末「おうちシネマ」にいかがですか?
text:kanacasper(カナキャスパ)(映画・カルチャー・美容ライター/編集者)
編集を手がけた韓国のカリスマオルチャン、パク・ヘミン(PONY)のメイクブック『“かわいい顔”はつくるもの! 秘密のオルチャンメイク』(Sweet Thick Omelet/DVD付/¥1,500・税別)が好評発売中。こころもからだも豊かに美しくしてくれる日々の”カケラ”をブログで収集中。
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