身体と同様に、こころもエクササイズが必要。週に1本映画を観ることで、こころの筋肉をしっかりと動かし、”きれい”を活性化しませんか? そんな”きれいになれる”映画を毎週紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。
第21回のテーマは「”あの娘”を忘れないで」。イギリスのミュージカル映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』を紹介します。ミュージカル映画が苦手な人も大丈夫! 人気バンド“ベル・アンド・セバスチャン”のフロントマン、スチュアート・マードックの初監督作品だけあって、違和感なく歌がすっと体に入ってくるのでご安心を。
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』 DVD発売中 通常版¥3,800(税抜) ブルーレイ発売中 通常版¥4,700(税抜) 数量限定豪華版¥7,200(税抜) 発売元:アット エンタテインメント 販売元:TCエンタテインメント © FINDLAY PRODUCTIONS LIMITED 2012 ※2016年3月5日現在
|年をとらないあの娘
今はどこでなにをしているのかわからないけど、まぶしい青春の記憶の1ページに輝いて存在するあの娘。そんな友達はいませんか? お互いの人生が別の方向へ向かっていって疎遠になってしまったけれど、ある一点では奇跡的に交差したわたしと彼女の人生。
この映画はそんな、もういなくなってしまった”彼女”についての映画です。
|“音楽”が繋いだ3人のひと夏
イギリスのグラスゴーで入院中のイヴは、ご飯をきちんと食べること、眠ることを飛び越えて曲を作ることに夢中な女の子。ある日病院を抜け出して向かったライヴハウスで、ステージにたつ草食系男子ジェームズに出会います。さらにジェームズが個人的に音楽を教えている裕福な家庭でのびのび育つ年下の女の子キャシーとも出会い、3人はバンドを組むことになります。
共通点のほとんどない3人が、”音楽”を通してお互いを尊重し、友情や恋や夢、そして挫折の気配もするキラキラしたひと夏を過ごす様が、16mmフィルムでキッチュに切り取られていきます。
|英国ガールの古着ミックス・ファッションがかわいい!
人気バンド“ベル・アンド・セバスチャン”のフロントマン、スチュアート・マードックの初監督作品でミュージカル映画である本作。女の子の内省的な心情をポップにのせた楽曲も魅力ですが、そのファッションが本当にキュートで注目なのです。
50-70年代の古着をプチプラアイテムとミックスして、自分らしいファッションを三種三様に成立させているところが素敵。なかでも主役のイヴのファッション、メイク、ぱっつん前髪、小物づかいは、ミュージシャンの卵らしく個性的で、自分に似合うものを熟知している感じがかわいい!小柄で華奢な体にまとう古着ミックスのファッションは日本人にも取り入れやすいし、お金をかけずにお洒落を楽しむヒントに溢れています。
|“あの娘”を忘れないで
エミリー・ブラウニング演じるイヴは、作曲の才能があるけれど自身がなく、自分の殻に閉じこもっています。ところが、彼女の才能を信じてリスペクトしてくれる優しいジェームズ、天真爛漫で音楽と触れ合う喜びを全身で表現するキャシーに勇気をもらい、どんどんその才能を開花させていきます。イヴはこのルックスですからとてもモテるのですが、ジェームズも実は、彼女に淡い恋心を抱いています。だけど、ジェームズはどこかで、イヴが自分の青春の1ページにしか存在しえない”あの娘”ということがわかっていて、愛に溢れつつも切ないラストシーンには胸が締め付けられます。
PVのようなポップな世界観とスチュアート・マードックの親密な音楽が混ざり合うキュートなガールズ・ムービーですが、ふと、自分の青春にほんのひととき存在した”あの娘”をふと思い出して切なくも暖かい気持ちになれる映画です。そして、それはきっと、”あの娘”はあの時代の”自分”だからなのだと思います。
忘れていたけれど確かに存在した”自分”に久しぶりに会うために、今週末「おうちシネマ」にいかがですか?
text:kanacasper(カナキャスパ)(映画・カルチャー・美容ライター/編集者)
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