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Channel: きれいのニュース|beauty news tokyo
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恋人、家族、友人との愛に思いを巡らせると…。あなたの“世界”には誰が存在しますか?

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【うるおい女子の映画鑑賞】 第48回『たかが世界の終わり』(2016年・カナダ=仏)   「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの! そんな視点から今回は19歳で映画デビューを果たし、新作を撮るごとに映画業界を熱狂に巻き込んでいる若き才能グザヴィエ・ドラン監督が2016年のカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『たかが世界の終わり』(2016年・カナダ=仏)を紹介します。   |ストーリー ある半日の出来事。劇作家として成功しているルイ(ギャスパー・ウリエル)は自分の死期が迫っていることを伝えるために、12年ぶりに実家に帰ります。
出典:imdb.com それまで、折に触れ、淡白なひと言を添えたポストカードしか家族に送ってこなかったルイの突然の帰郷。それぞれ察するところがありながらも、母親は舞い上がり喋り倒し、兄の記憶がほとんどない妹は慣れない厚化粧でたばこを吸いまくり、決定的な”何か”がルイとの間にあったらしい兄はひたすら嫌味を言っては雰囲気をぶち壊し、一触即発な空気を作り出します。   |大事なことこそ話せない家族 この映画、ほとんどが会話劇。たわいもない家族間の会話や小さな言い争いが続きます。ところが、とにかくしゃべり倒している(特に母)のにも関わらず、ルイが帰ってきた理由だけは語られないまま時間が過ぎていきます。12年間の沈黙を打ち破るに値する爆弾のような”何か”を持ち帰ってきたはずのルイ。
出典:imdb.com なかなかこころを開かない彼に、家族はそれぞれ不器用に語りかけますがうまくいかず、そのコミュニケーションの不完全さはまさに「家族」そのもの。家族だからこそ触れられないこと、家族だからこそ素直になれない、上手く愛せない、そんな、誰もが大なり小なり抱えている葛藤が浮き彫りになっていきます。   ※以下ネタバレを含みます   |あなたの世界には誰がいる? ルイは家族を拒絶してきて、そこには何か理由があるのかもしれませんが、劇中では一切語られません。そんな彼が余命わずかな自分の”世界”が終わる前に、再び家族を迎い入れようとするのですが、結局それを伝えられず、再び背を向けようとします。その瞬間、兄アントワーヌの怒りが爆発します。
出典:imdb.com ルイが去った後、ひとりで家族を守ってきた彼は、口は悪くとも、この家族の”世界”を守ってきた存在です。本能的に、ルイが抱えている”爆弾”が家族を壊しかねないと察しつつも、ルイを受け入れようと苦しんでいたアントワーヌ。ところが、ルイが再びこころを閉じたときに「自分のことしか見えていないお前の世界の終わりになんて興味はない!」とばかりにルイを家から締め出します。遅かれ早かれくるであろう家族とルイの別れを、ルイの世界を、兄が力技で終わらせてくれたのです。正しいか正しくないかは別として、アントワーヌのこの暴力的な行動は、とても不器用ですが、愛そのものです。   |愛にガツンと殴られる1本 突如鳴り響くボリュームが大きすぎる音楽、登場人物の劇的なセリフとクローズアップ、張り詰める緊張感、息苦しくなるような夏の午後。苦しくて胸がざわざわして、「え?」という驚きのエンディング。好きだった人に突き放されたような衝撃で映画館を後にしましたが、それから数日間、この家族のこと、殊にアントワーヌの表情が頭から離れませんでした。愛にがつんと殴られた感じ。 わたしの”世界”には誰がいるんだろう? 毎日顔をあわせる恋人、家族、同僚、友人と果たして同じ”世界”で生きているのだろうか。解釈が観客に大きく委ねられている1本だからこそ気合いを入れて観て欲しい作品。そうすれば、こころで深く感じるものがあるはずです。   text:kanacasper(カナキャスパ) 映画・カルチャー・美容ライター/編集者

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