ミャンマーの大都市ヤンゴンに滞在中、毎日、野外カフェで甘いミルクコーヒーを飲みながら本を読むことが日課でした。
その近くには大きな木があり、その木陰で、いつも座っているおじいさんの姿がありました。
フレームが片方壊れ、ゴムで留めた丸眼鏡をかけ、まるでドラえもんの主人公のび太が歳をとったようでした。
彼は時折、愛おしそうに木を触るのです。
「今日、誰かが木陰に腰をおろして休憩しているとしましょう。それは、はるか昔に別の誰かが木の苗を植えてくれたからなのです」
アメリカの投資家、ウォーレン・バフェットはそう言ったそうです。
投資の世界は私には無縁な話ですが、この言葉だけは心に響き、それ以来、旅先の散歩で見かける目線が1つ増えました。
地球上、たいていの場所には木々が植えられています。
それらの木々を見ながら、
これはいつくらいに植えられたものなのだろう、どんな人が植えたのだろうと想像を膨らませ、
昔の人に想いを寄せると、その土地に身体が馴染んでいくように感じるのです。<text:イシコ http://sekaisanpo.jp/>
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